今日は、平和30年度 第25問について解説します。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(国土交通省平成23年8月。以下、本問において「ガイドライン」という。)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
① ガイドラインでは、借主によるペット飼育に伴い生じる「臭い」は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負わない。
② ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄は、「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。
③ ガイドラインでは、賃貸建物の鍵の紛失は、賃借人負担と判断される場合が多いため、「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。
④ ガイドラインでは、風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ等は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負わない。
解説
原状回復をめぐるトラブルとガイドラインに関する問題です。
それではさっそく選択肢を確認しましょう。
選択肢 ①
ガイドラインでは、借主によるペット飼育に伴い生じる「臭い」は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負わない。
×不適切です
ガイドラインでは、飼育しているペットの臭いが付着している場合、借主負担と判断されると考えられています。
つまり、借主によるペット飼育に伴い生じる「臭い」は、「明らかに通常の使用による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負います。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ②
ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄は、「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。
×不適切です
エアコンの内部清掃は、喫煙による臭いなどが付着していない限り、借主の管理の範囲を超えるものであり、グレードアップの要素も含みます。
そのため、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置付けられており、貸主の負担となります。
つまり、ガイドラインでは、エアコンの内部洗浄は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負いません。よってこの選択肢は不適切です。
選択肢 ③
ガイドラインでは、賃貸建物の鍵の紛失は、賃借人負担と判断される場合が多いため、「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負う。
〇適切です。
借主が鍵を紛失・破損したことにより鍵の取替えが必要となる場合は、借主の負担となります。
選択肢の説明の通り、ガイドラインでは、賃貸建物の鍵の紛失は「明らかに通常の使用等による結果とは言えないもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負いますので、この選択肢は適切です。
選択肢 ④
ガイドラインでは、風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ等は、「賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負わない。
×不適切です
借主には通常の清掃を行う義務があるため、風呂・トイレ・洗面台の水垢やカビ等の清掃や手入れを怠った結果、汚損させた場合は、善管注意義務違反に該当すると判断されます。
つまり、ガイドラインでは、風呂・トイレ・洗面台の水垢・カビ等は、「賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの」に位置づけられており、借主は原状回復義務を負います。よってこの選択肢は不適切です。
以上から、正解は選択肢③となります。
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